横道世之介

 


横道世之介/吉田修一

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主人公である世之介が、大学時代の

友人や恋人との出会い、日常が綴られている。

 


まず読み終わって出てきたのは

『寂しい』という感情だった。

 


物語自体が最初から最後まで悲壮感漂う内容ではないし、

どちらかというと、暖かみのある作品。

 


もちろんこの『寂しい』というのは

いい本を読み終わってしまい、もう続きがないという意味のそれではない。

 

 

 

社会人になると、

毎日が必死で、けどどこか

似たような毎日を送っていて、

 


そのなかで、きっとあれだけ楽しかったはずの学生時代の思い出が風化されていくんだと思う。

 


誰もがいると思うんだよね。

学生時代そこそこ喋った奴なんだけど

もうこの先の人生で、二度と会わないだろうな、っていう人。

 


決して当時の思い出が

『その程度』だった訳じゃないし、

当時はめちゃめちゃ楽しかった。

 


けど所詮、時間の流れで

ほとんどの思い出がかき消されて行く。

 


個人的にはそんなことを感じてしまった作品でした。

(たぶん著者の意図とは違います。)

 


もっと歳をとってから読んだら

もっと寂しい気持ちになると思う。

 


話の展開はそんなに大きくないけど、

読み応えのある作品です。